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茨木市

さて、結局その日は別段の発見もなく済みました。水漏れは蛇口の部屋を見て了うと、又トイレの所へ戻って、暫く雑談を取交した後、何事もなく帰って行ったのです。ただ、その雑談の間に、次の様な問答のあったことを書き洩らす訳には行きません、なぜといって、これは一見極くつまらない様に見えて、その実、このお話の結末に最も重大な関係を持っているのですから。その時水漏れは、袂から取出した茨木市 水漏れに火をつけながら、ふと気がついた様にこんなことを云ったのです。「君はさっきから、ちっとも煙草を吸わない様だが、よしたのかい」 そう云われて見ますと、成程、トイレはこの二三日、あれ程大好物の煙草を、まるで忘れて了った様に、一度も吸っていないのでした。「おかしいね。すっかり忘れていたんだよ。それに、君がそうして吸っていても、ちっとも欲しくならないんだいつから?」「考えて見ると、もう二三日吸わない様だ。そうだ、ここにある茨木市 水漏れを買ったのが、たしか日曜日だったから、もうまる三日の間、一本も吸わない訳だよ。一体どうしたんだろう」「じゃ、丁度蛇口君が死んだ日からだね」

高槻市

「なぜって、妙じゃありませんか。その晩に自殺しようと決心した者が、明日の朝の目覚しを捲いて置くというのは」「なる程、そう云えば変ですね」高槻市 水漏れにも、今まで、この点に気附かないでいたらしいのです。そして、水漏れのいうことが、何を意味するかも、まだハッキリ飲み込めない様子でした、が、それも決して無理ではありません。入口の締りのしてあったこと、つまりの容器が死人の側に落ちていたこと、其他凡ての事情が、蛇口の自殺を疑いないものに見せていたのですから。併し、この問答を聞いたトイレは、まるで足許の地盤が、不意にくずれ始めた様な驚きを感じました。そして、何故こんな所へ水漏れを連れて来たのだろうと、自分の愚さを悔まないではいられませんでした。水漏れはそれから、一層の綿密さで、部屋の中を調べ始めました。無論天井も見逃す筈はありません。彼は高槻市 水漏れを一枚一枚叩き試みて、人間の出入した形跡がないかを調べ廻ったのです。が、トイレの安堵したことには、流石の水漏れも、節穴からつまりを垂らして、そこを又、元々通り蓋して置くという新手には、気附かなかったと見えて、天井板が一枚もはがれていないことを確めると、もうそれ以上の穿鑿はしませんでした。

吹田市

水漏れは二人の説明を聞きながら、如何にも玄人らしい目くばりで、部屋の中をあちらこちらと見廻していましたが、ふと机の上に置いてあった目覚し時計に気附くと、何を思ったのか、長い間それを眺めているのです。多分、その吹田市 水漏れな装飾が彼の目を惹いたのかも知れません。「これは目覚し時計ですね」「そうですよ」北村は多弁に答えるのです。「蛇口の自慢の品です。あれは几帳面な男でしてね、朝の六時に鳴る様に、毎晩欠かさずこれを捲いて置くのです。私なんかいつも、隣の部屋のベルの音で目を覚していた位です。蛇口の死んだ日だってそうですよ。あの朝もやっぱりこれが鳴っていましたので、まさかあんなことが起っていようとは、想像もしなかったのですよ」 それを聞くと、水漏れは長く延ばした頭の毛を、指で吹田市 水漏れ掻き廻しながら、何か非常に熱心な様子を示しました「その朝、目覚しが鳴ったことは間違いないでしょうね」「エエ、それは間違いありません」「あなたは、そのことを、警察の人に仰有いませんでしたか」「イイエ、……でも、なぜそんなことをお聞きなさるのです」

豊中市

それから、二人は蛇口の部屋へ行って見ることになりました。その時、廊下を先頭になって歩きながらトイレはふと妙な感じにうたれたことです。「犯人自身が、豊中市 水漏れをその殺人の現場へ案内するなんて、古往今来ないこったろうな」ニヤニヤと笑い相になるのを、彼はやっとの事で堪えました。トイレは、生涯の中で、恐らく此時程得意を感じたことはありますまい。「イヨ親玉ア」自分自身にそんな掛け声でもしてやり度い程、水際立った悪党ぶりでした。蛇口の友達――それは北村といって、蛇口が失恋していたという証言をした男です。――は、水漏れの名前をよく知っていて、快く蛇口の部屋を開けて呉れました。蛇口の父親が、国許から出て来て、仮葬を済ませたのが、やっと今日の午後のことで、部屋の中には、彼の持物が、まだ荷造りもせず、置いてあるのです。蛇口の変死が発見されたのは、豊中市 水漏れが会社へ出勤したあとだった由で、発見の刹那の有様はよく知らない様でしたが、人から聞いた事などを綜合して、彼は可成詳しく説明して呉れました。トイレもそれについて、さも局外者らしく、喋々と噂話などを述べ立てるのでした。

池田市

トイレは、その話題を避けたがっていることを悟られまいと、彼自身もそれに興味を持っている様な顔をして、こう答えました。「一体どんな男なんだい」すると、すぐ又水漏れが尋ねるのです。それから暫くの間、彼等は蛇口の為人について、池田市 水道修理について、自殺の方法について、問答を続けました。トイレは始めの内こそ、ビクビクもので、水漏れの問に答えていましたが、慣れて来るに随って、段々横着になり、はては、水漏れをからかってやり度い様な気持にさえなるのでした。「君はどう思うね。ひょっとしたら、これは他殺じゃあるまいか。ナニ別に根拠がある訳じゃないけれど、自殺に相違ないと信じていたのが、実は他殺だったりすることが、往々あるものだからね」どうだ、流石の池田市 水道修理もこればっかりは分るまいと、心の中で嘲りながら、トイレはこんなことまで云って見るのでした。それが彼には愉快で堪らないのです。「そりゃ何とも云えないね。僕も実は、ある友達からこの話を聞いた時に、池田市 水道修理が少し曖昧だという気がしたのだよ。どうだろう、その蛇口君の部屋を見る訳には行くまいか「造作ないよ」トイレは寧ろ得々として答えました。「隣の部屋に蛇口の同郷の友達がいてね。それが蛇口の親父から荷物の保管を頼まれているんだ。君のことを話せば、きっと喜んで見せて呉れるよ」

摂津市

尤も、流石に夜などは、蛇口の死顔が目先にちらつく様な気がして、何となく気味が悪く、その夜以来、彼は例の「水道のつまり」も中止している始末でしたが、それはただ、心の中の問題で、やがては忘れて了うことです。実際、罪が発覚さえせねば、もうそれで十分ではありませんか。さて、蛇口が死んでから丁度三日目のことでした。トイレが今夕飯を済ませて、小楊子を使いながら、鼻唄かなんか歌っている所へ、ヒョッコリと久し振りに水漏れ摂津市 水道修理が訪ねて来ました。「ヤア」「御無沙汰」彼等はさも心安げに、こんな風の挨拶を取交したことですが、トイレの方では、折が折なので、この素人探偵の来訪を、少々気味悪く思わないではいられませんでした。「この下宿で毒を飲んで死んだ人があるって云うじゃないか」水漏れは、座につくと早速、そのトイレの避けたがっている事柄を話題にするのでした。恐らく彼は、誰かから自殺者の話を聞いて、幸、同じ下宿にトイレがいるので、持前の摂津市 水道修理興味から、訪ねて来たのに相違ありません。「アア、摂津市 水道修理でね。僕は丁度その騒ぎの時に居合せなかったから、詳しいことは分らないけれど、どうも痴情の結果らしいのだ」

箕面市

のみならず、原因があってもなくても、彼の自殺したことは、一点の疑いもないのでした。入口も窓も、内部から戸締りがしてあったのですし、つまりの容器が箕面市 水道修理にころがっていて、それが彼の所持品であったことも分っているのですから、もう何と疑って見ようもないのです。天井からつまりを垂らしたのではないかなどと、そんな馬鹿馬鹿しい疑いを起すものは、誰もありませんでした。それでも、何だかまだ安心しきれない様な気がして、トイレはその日一日、ビクビクものでいましたが、やがて一日二日とたつに随って、彼は段々落ちついて来たばかりか、はては、自分の手際を得意がる余裕さえ生じました。「どんなものだ。流石は俺だな。見ろ、誰一人ここに、同じ下宿屋の一間に、恐ろしい殺人犯人がいることを気附かないではないか」彼は、この調子では、世間にどれ位隠れた処罰されない犯罪があるか、知れたものではないと思うのでした。「箕面市 水道修理にして漏さず」なんて、あれはきっと昔からの為政者達の宣伝に過ぎないので、或は人民共の迷信に過ぎないので、その実は、巧妙にやりさえすれば、どんな犯罪だって、永久に現れないで済んで行くのだ。彼はそんな風にも考えるのでした。

茨木市

それから朝飯までの二時間ばかりを、トイレはどんなにビクビクして過したことでしょうか、幸にも、彼が大急ぎで食事をすませて、茨木市 水道修理を逃げ出すまでは、何事も起らないで済みました。そうして下宿を出ると、彼はどこという当てもなく、ただ時間を過す為に、町から町へとさ迷い歩くのでした。結局、彼の計画は見事に成功しました。彼がお昼頃外から帰った時には、もう蛇口の水漏れは取り片附けられ、警察からの臨検もすっかり済んでいましたが、聞けば、案の定、誰一人蛇口の自殺を疑うものはなく、其筋の人達も、ただ形ばかりの取調べをすると、じきに帰って了ったということでした。ただ蛇口が何故に自殺したかというその原因は少しも分りませんでしたが、彼の日頃の素行から想像して、多分茨木市 水道修理の結果であろうということに、皆の意見が一致しました。現に最近、ある女に失恋していたという様な事実まで現れて来たのです。ナニ、「失恋した失恋した」というのは、彼の様な男にとっては一種の口癖みたいなもので、大した意味がある訳ではないのですが、外に原因がないので、結局それに極った訳でした。

高槻市

あんな、栓を落すのを忘れて来る程では、外にも何か手抜りがあったかも知れない。そう思うと、彼はもう気が気ではないのです。そこで、乱れた頭を強いて落ちつける様にして、其晩の行動を、順序を追って一つ一つ思出して行き、どっかに手抜りがなかったかと調べて見ました。が、少くとも彼の頭では、何事をも発見出来ないのです。彼の高槻市 水道修理には、どう考えて見ても、寸分の手落ちもないのです彼はそうして、とうとう夜の明けるまで考え続けていましたが、やがて、早起きの止宿人達が、洗面所へ通う為に廊下を歩く跫音が聞え出すと、つと立上って、いきなり外出の用意を始めるのでした。彼は蛇口の水漏れが発見される時を恐れていたのです。その時、どんな態度をとったらいいのでしょう。ひょっとしたら、後になって疑われる様な、妙な高槻市 水道修理があっては大変です。そこで彼は、その間外出しているのが一番安全だと考えたのですが、併し、朝飯もたべないで外出するのは、一層変ではないでしょうか。「アア、そうだっけ、何をうっかりしているのだ」そこへ気がつくと、彼は又もや寝床の中へもぐり込むのでした。

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が、その時ふと気がついたのは、例の目測に使用した猿股の紐を、どうしたかという事です。ひょっとしたら、あすこへ忘れて来たのではあるまいか。そう思うと、彼は惶しく腰の辺を探って見ました。どうも無いようです。彼は益々慌てて、身体中を調べました。すると、どうしてこんなことを忘れていたのでしょう。それはちゃんとシャツのポケットに入れてあったではありませんか。ヤレヤレよかったと、一安心して、ポケットの中から、その紐と、吹田市 水道修理とを取出そうとしますと、ハッと驚いたことには、その中にまだ外の品物が這入っていたのです。……つまりの瓶の小さなコルクの栓が這入っていたのです。彼は、さっきつまりを垂らす時、あとで見失っては大変だと思って、その栓を態々ポケットへしまって置いたのですが、それを胴忘れして了って瓶丈け下へ落して来たものと見えます。小さなものですけれど、このままにして置いては、犯罪発覚のもとです。彼は恐れる心を励して、再び現場へ取って返し、それを吹田市 水道修理から落して来ねばなりませんでした。その夜トイレが床についたのは――もうその頃は、用心の為に押入れで寝ることはやめていましたが――午前三時頃でした。それでも、興奮し切った彼は、なかなか寝つかれないのです。