吹田市

それから二時間ばかり後、彼等はやっぱり元のままの状態で、その長い間、殆ど姿勢さえもくずさず、トイレの部屋で相対していました。「有難う、よくほんとうのことを打開けて呉れた」最後に水漏れが云うのでした。「僕は決して君のことを警察へ訴えなぞしないよ、ただね僕の判断が当っているかどうか、それが確めたかったのだ。君も知っている通り、僕の興味はただ『真実を知る』という点にあるので、それ以上のことは、実はどうでもいいのだ。それにね、この犯罪には、一つも証拠というものがないのだよ。シャツの釦、ハハ……、あれは僕の吹田市 トイレつまりさ。何か証拠品がなくては、君が承知しまいと思ってね。この前君を訪ねた時、その二番目の釦がとれていることに気附いたものだから、一寸利用して見たのさ。ナニ、これは僕が釦屋へ行って仕入れて来たのだよ。釦がいつとれたなんていう事は、誰しもあまり気附かないことだし、それに、君は興奮している際だから、多分うまく行くだろうと思ってね。僕が蛇口君の自殺を疑い出したのは君も知っている様に、あの目覚し時計からだ。あれから、この管轄の警察署長を訪ねて、ここへ臨検した一人の刑事から、詳しく当時の模様を聞くことが出来たが、その話によると、吹田市 トイレつまりの瓶が煙草の箱の中にころがっていて、中味が巻煙草にこぼれかかっていたというのだ。